AI実践ログ No.1公開

OMEN 30Lに他社製メモリを足したら通常起動しなくなった|ChatGPTとClaude Codeで2日間切り分けて、CFDを諦めるまで

HP OMEN 30L(Core i9-10850K)にCFDの16GB×2を足して64GBにしたら、BIOSは認識し、メモリテストにも合格したのに、通常起動だけがOMENのロゴの下の白い輪で止まりました。ChatGPTとClaude Codeでログを集めて2日間切り分けた手順と結果、AIの提案でPOSTが通らなくなった失敗、CFDを諦めた判断までを記録します。

結果

64GBでは通常起動が一度も成功せず、CFDを諦めてHP純正のメモリを買い直すことにしました。原因は「CFDの2枚を加えたこと」まで絞り込みましたが、CFDの不良とは言えません。

この記録の要点

  • BIOSは64GBを認識し、UEFIのメモリ高速テストにも合格、セーフモードなら動く。それでも64GBでの通常起動は、記録で確認できる7回すべてが失敗しました。
  • セーフモードのPCにMacからSSHで入れるようにし、Claude Codeが記録を突き合わせて「通常起動に成功したのは32GBのときだけ」と確かめました。
  • GPUのドライバーを外しても止まりました。AIの提案でBIOSのメモリのタイミングを変えると、POSTすら通らなくなりました(CMOSの電池を外して復旧)。
  • 元の2枚に戻すと通常起動でき、BIOSの「Advanced」の画面も消えました。HP以外のメモリを挿したときだけ、BIOSの扱いが変わるようです。

この記録で使ったAIツール

はじめに:64GBにするはずが、2日かけて元の32GBに戻った

HP OMEN 30L に CFD のメモリ 16GB×2 を足して、64GB にしようとしました。結果は失敗です。64GB では Windows の通常起動が一度も成功せず、CFD は諦めて、HP 純正のメモリを買い直すことにしました。

不思議だったのは、BIOS が 64GB をきちんと認識していたことです。UEFI のメモリテストにも合格し、セーフモードなら何時間でも安定して動きました。それでも通常起動だけは、OMEN のロゴの下の白い輪が止まったまま進みません。64GB での通常起動は、記録で確認できるだけで 7 回失敗し、成功は 0 回でした。

原因は完全には特定できていません。CFD のメモリが不良だと言える材料はありません。分かったのは「CFD の 2 枚を加えると止まり、元の 2 枚なら動く」というところまでです。

この記事は、スマートフォンの ChatGPT と Mac の Claude Code を使って、約 1 日半かけて原因を切り分けた記録です。試したこと、その結果、AI に任せてうまくいったことと危なかったことを、時系列で正直に書きます。

この記事で分かること:

  • 通常起動だけが止まるときの、切り分けの順番
  • セーフモードで動いている PC に、Mac から SSH で入る方法
  • AI の提案どおり BIOS をいじって、POST すら通らなくなった話
  • 同じ機種でメモリを増設するなら、どのメモリを選ぶか

機材と、メモリを64GBにしたかった理由

使っている PC の構成は次のとおりです。

項目内容
PCHP OMEN 30L Desktop(GT13-0xxx 系)
マザーボードHP 8703(Intel Z490)
BIOSAMI F.20(2021-08-27)
CPUIntel Core i9-10850K(10 コア 20 スレッド)
GPUNVIDIA GeForce RTX 3080(VRAM 10GB)
元のメモリKingston の HP 向けモジュール HP32D4U8D8HD-16XR(16GB×2、DDR4-3200、2 ランク)。私は「HyperX」だと思っていた
空きスロットDIMM2・DIMM4

HP の公式仕様では、DDR4 のメモリスロットが 4 本、最大 64GB(16GB×4)です。HP 自身も 16GB×4 の構成を出荷していました。つまり「64GB にすること」自体は、仕様の範囲内でした。

ただし日本 HP の仕様書には、「HP では純正メモリのオプション販売はしていない」「自分で増設した場合の動作はサポート外」という趣旨の注記があります。増設は自己責任、ということです。

64GBにしたかった理由

この PC は、自宅でローカル LLM を動かす機械として使っています。Ollama を常駐させています。

MoE 型の大きいモデルを試したとき、VRAM 10GB に載らない分をメインメモリに置く方式で動かしました。しかし 32GB では重みが RAM に載り切らず、残りを毎回 SSD から読むので遅くなりました。試験中、空き RAM は 0.1GB 前後に張り付いていました。

64GB にすれば重みが RAM に載り切り、Mac で動かしている 27B 級のモデルと同じくらいの速さになる、という見込みでした。ただしこれは推定で、64GB にしない限り測れません。結局、確かめられないまま終わりました。

メモリ選びはAIに調べさせた:推奨と「未確認」の両方が出ていた

2026 年 10 月 12 日、増設するメモリの候補を、Mac の Claude Code(AI エージェント)に調べさせました。推奨として挙がった「案 A」は、CFD Standard の W4U3200CS-16G(16GB×2)です。DDR4-3200、CL22、1.2V、JEDEC 準拠、1 ランク(16Gb チップ)の製品です。

推奨の理由は次のとおりでした。

  • 元のモジュールと同じ「3200・CL22・1.2V」で、XMP(メモリを規格より速く動かす設定)が要らない
  • HP が 16GB×4 の構成を出荷している
  • Kingston の機種別の適合表に「16GB のモジュールをペアで、最大 64GB」とあり、1 ランクの 16GB 品も載っていた
  • 大手の店に在庫があり、販売店の表記では購入後 30 日の相性保証がある

一方で、同じ調査は「未確認の点」もはっきり書いていました。

  • 元のモジュールは 2 ランクと推定される。1 ランクの CFD を足すと、同じチャンネルに 2 ランクと 1 ランクが混ざる。この BIOS での動作は未確認
  • BIOS F.20 で、他社製を混ぜた 4 枚が 3200 で動くかは未確認
  • HP のコミュニティ(公式ではない)には、「HP 以外のメモリは 2400 に落ちることがある」「この基板はメモリに気難しい」という書き込みがある

調査自体も「この推奨を『適合品』とは呼ばない」と書いていました。動く見込みはあるが、確かめてはいない、という位置づけです。

私は Amazon で CFD の 16GB×2 を、約 3 万円で買いました。

振り返ると、つまずいたのはまさにこの「未確認」の部分でした。AI の調査は、推奨の文だけでなく「確かめていない点」の欄まで読むべきでした。

1日目:ビープ音、切れていた電池、そして止まる白い輪

11 月 1 日の午後、空いていた DIMM2 と DIMM4 に CFD を挿して、電源を入れました。するとビープ音が鳴り、画面が映りません。本体のライトが点いたり消えたりを繰り返し、起動しかけては止まるように見えました。

ビープ音は、私の記憶では「低い音 2 回、高い音 3 回」です。ただ、うろ覚えなので、正確なビープコードとしては扱っていません。

CFD を抜いて元の 2 枚に戻すと、起動しました。そのとき一瞬、「CMOS のリセット(502)」という表示が出ました。あとで OMEN の記録を読むと、電源コードを抜くたびに BIOS の時計が 2018 年 1 月 1 日に戻っていました。CMOS の電池が、もともと切れていたのです。

元の 32GB では、この日の午後に 3 回、通常起動に成功しています(15:19、16:28、17:21)。15:23〜16:28 には Windows のメモリ診断(標準テスト)も手動で実行し、32GB を検査してエラー 0 で合格しました。

夜の 22:20 ごろ、CMOS の電池を新品に交換し、4 枚(64GB)を挿しました。BIOS の画面には「65536MB」「DDR4」「3200」「Dual Channel」と出て、4 枚とも 16384MB と認識されていました。

ところが、22:23 ごろと 22:34 ごろの通常起動では、OMEN のロゴの下の白い輪(くるくる回る印)が止まったまま進みません。10 分以上待っても変わらず、ブルースクリーンも、勝手な再起動もありませんでした。

22:38 からは、HP PC Hardware Diagnostics UEFI(電源を入れた直後に Esc → F2 で開く診断ツール)で、メモリの「高速テスト」を実行しました。23:14 に合格。テスト済みの容量は 63.7GB でした。

時刻(11/1)したこと結果
午後DIMM2・DIMM4 に CFD を挿して起動ビープ音、画面が出ない、ライトが点いたり消えたり
午後CFD を抜いて、元の 2 枚で起動起動した(「CMOS のリセット(502)」の表示あり)
15:19 / 16:28 / 17:21元の 32GB で通常起動3 回とも成功。15:23〜16:28 にメモリ診断も合格
22:20 ごろCMOS の電池を交換し、4 枚を挿すBIOS は 65536MB・DDR4・3200・Dual Channel と表示
22:23 ごろ / 22:34 ごろ通常起動白い輪が止まったまま(10 分以上変化なし)
22:38〜23:14HP の UEFI 診断で、メモリの高速テスト合格(テスト済み 63.7GB)

この時点の状況はこうです。BIOS は 64GB を認識し、メモリのテストにも合格している。「メモリは大丈夫そうなのに、なぜ Windows が起動しないのか」。電池の交換で、メモリとは別の問題(時計が戻る件)は片付きましたが、起動しない問題はそのままでした。

2日目の朝:セーフモードなら64GBで動く

11 月 2 日の 05:42 ごろ、自動修復が動きました。しかし結果は「修復できませんでした」。記録(SrtTrail.txt)を見ると、29 個のテストがすべて正常で、根本原因は 0 件でした。

05:49、回復画面の「スタートアップ設定」で「4:セーフモードを有効にする」を選ぶと、64GB のままデスクトップまで起動しました。タスクマネージャーでは、メモリ 64.0GB、DDR4、速度 3200 MT/秒、スロットの使用 4/4、ハードウェア予約 136MB と表示されました。

ここまでの相談相手は、スマートフォンの ChatGPT でした。BIOS の画面、ビープ音、回復画面などを写真に撮って読ませ、その場で次の手順を聞きました。ChatGPT は、時刻があいまいな出来事を「時刻不明」と区別した相談履歴(Markdown)もまとめてくれました。

大事なのは、「セーフモードでは動くが、通常起動では止まる」という形です。メモリそのものが原因なのか、通常起動のときだけ読み込まれるドライバーが原因なのか。この時点では区別がつきません。

ログをきちんと読むには、Mac の Claude Code に OMEN の中を調べさせたい。ところが、ネットワークなしのセーフモードでは IP アドレスが無く、SSH のサーバー(sshd)は「1084」というエラーで止まっていました。これが次の壁でした。

セーフモードのPCに、MacからSSHで入る

エラー 1084 は、「このサービスはセーフモードでは開始できない」という意味です。まずは「5:セーフモードとネットワークを有効にする」で起動し直そうとしました。

ところが、Shift キーを押しながら再起動したら、途中で通常起動に入ってしまい、また白い輪で止まりました。電源を入れ直し、F11 で回復画面に入り直して、08:53 にネットワーク付きのセーフモードで起動できました。

それでも Mac から SSH で接続すると、ポート 22 への接続が 8 秒で時間切れになります。ping は通り、応答は 1ms 弱でした。接続の拒否でも、認証の失敗でもありません。そもそも待ち受けが無い状態です。セーフモードでは、レジストリの SafeBoot\Network に載っているサービスしか起動しない。これが原因だろう、という見立てでした(推論)。

この間に Claude Code は、Mac 側に残っていた別の自動処理のログ(OMEN に定期的につなぎに行く処理の記録)から、OMEN がいつネットワークに居たかを時系列にしました。11 月 1 日の午後は通常起動が 3 回成功し、21:51 より後は、朝の 08:53 まで一度もネットワークに現れていません。「白い輪で止まっている間も、裏で Windows は動いているのでは」という説は、これで弱まりました。

対策として、レジストリの HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\SafeBoot\Network に sshd を「Service」として登録し、sshd を起動しました。Claude Code が書いた手順書には、変更前の控えを取るコマンド、変更の中身、効く範囲、元に戻す方法がそろっていました。実行は、OMEN の管理者のコマンドプロンプトで私がしました。

  • 控えを取る:reg export HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\SafeBoot\Network SafeBoot_Network_before.reg
  • 登録する:reg add HKLM\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\SafeBoot\Network\sshd /ve /t REG_SZ /d Service /f
  • 起動する:sc.exe start sshd

12:47 に sshd が起動し、13:06 に Mac から SSH が通りました。

注意:この設定をすると、セーフモードの間も、LAN から SSH で入れるようになります。調査が終わったら元に戻す前提の、一時的な設定です。

ログが語ったこと:通常起動に成功したのは32GBのときだけ

SSH が通ったあと、Claude Code は読み取りだけの PowerShell の診断スクリプトを作りました。OMEN に送ったファイルが Mac 側と同じかを SHA-256 で確かめてから実行し(1.9 分)、結果を ZIP で Mac に回収して分析しました。

実機の記録から分かったことは、次のとおりです。

分かったこと根拠
通常起動に成功したのは、32GB のときだけNVIDIA のアプリが 17:21:54 に書いた設定ファイル(SHIM.json)に「物理メモリ約 32GB」「RAM 32768MB DDR4 3200」とある
止まった通常起動は、記録を残していないイベントログが 1 件も無い。イベントログが動き出す前(カーネルとドライバーを初期化する段階)で止まっている
ブルースクリーンではない次の起動の「Kernel-Power 41」はバグチェックのコードが 0。止まった起動を電源ボタンで強制終了したときの形
メモリの内訳DIMM1・3 は Kingston(2 ランク)、DIMM2・4 は CFD(1 ランク)。4 枚とも「3200・1.2V」と報告
OMEN の時計が 32 分 18 秒遅れていたCMOS の初期化のあと、Windows が時計を前回の終了時刻に合わせたため(推論)。起動しない原因ではない

決め手になったのは、NVIDIA のアプリの記録です。最後に通常起動に成功した 17:21 の時点で、4 枚目まで挿さっていたのかどうか、私の記憶では決められませんでした。CFD を挿す作業は 17 時より前から始めていたからです。アプリが起動時に書いた 1 行が、「そのときは 32GB だった」ことを示していました。つまり、64GB での通常起動は一度も成功していません。

GPU も候補として残しました。11 月 1 日の通常起動のたびに、GPU で PCIe の訂正済みエラー(WHEA-Logger 17)が記録され、9 月には GPU 関係のブルースクリーンの記録もあったからです。

AI の訂正も 1 つありました。このメモリには ECC(誤りを検出・訂正する機能)が無いので、メモリの誤りはそもそも WHEA に記録されません。Claude Code は最初、「メモリの WHEA がゼロ」を正常の材料のように書き、あとで自分で訂正しました。

診断スクリプト自体にも失敗がありました。要約を作る手順で例外が出たこと。隠しファイルを調べる指定が抜けて、pagefile などを「無し」と誤って記録したこと。ブートログの区切りを読めなかったこと。さらに、BIOS にある OEM 版 Windows のプロダクトキーに関わる情報まで集めてしまい、Mac 側のコピーを伏せ字にしました。読み取りだけでも、集める範囲には気をつける必要があります。

切り分け:ブートログ、GPU、メモリの上限

ログだけでは、メモリが原因かドライバーが原因かを決められません。そこで午後は、条件を変えて試しました。

試したことねらい結果
ブートログを有効にして通常起動(スタートアップ設定の 2)どのドライバーまで進んで止まるかを見る白い輪で停止。ntbtlog.txt にこの起動の行が 1 行も増えない=ブートログを書く前の、さらに早い段階で止まっている。起動の記録(bootstat.dat)は、Boot Manager が Code Integrity のポリシーを読んだところで途切れていた
NVIDIA の GPU を無効にして通常起動(pnputil)GPU のドライバーが原因かを見る同じように停止。NVIDIA のドライバーは候補から外れた。GPU はすぐに有効に戻した
Windows が使うメモリを 32GB に絞る(bcdedit の truncatememory)メモリを抜かずに、32GB 分だけで起動できるかを見る「セキュアブートのポリシーで保護されているため変更できない」と断られ、何も変わらなかった
BIOS の画面へ再起動するコマンド(shutdown /r /fw)リモートから BIOS を開くこの機種ではエラー 203 で使えない。電源を切り、F10 で BIOS を開いた

GPU の無効化は、私の「そっちでテストもやって」を受けて、Claude Code が SSH で実行しました。実行の前に、元に戻すコマンドを決めてあり、結果を見てすぐに戻しています。

ここで、残った候補は 2 つになりました。

  1. 4 枚・64GB の構成そのものが、通常起動の早い段階で不安定になる(メモリ側)
  2. 通常起動のときだけ読み込まれる、NVIDIA 以外の部品(ドライバー側)

セーフモードでは何時間も安定しているのに、通常起動だけ毎回同じ所で止まる。これはメモリ側を外す理由にならない、と Claude Code は説明しました。起動の初期は毎回ほぼ同じ順番でメモリを使うので、メモリが不安定でも同じ所で止まることはありうる、という見立てです(推論)。

AIの提案どおりBIOSをいじったら、POSTすら通らなくなった

次に、BIOS の設定そのものを見ることにしました。BIOS の画面をスマートフォンで 6 枚撮り、ChatGPT に読ませました。その要約を、Mac の Claude Code に渡しています。Claude Code は写真そのものは見ていません。

「Advanced」の中に、「Memory Overclocking」という画面がありました。「Default profile」の値は次のとおりです。

項目値
DRAM Frequency1600(=3200 MT/s)
tCL / tRCD / tRP22 / 22 / 22
tRAS52
tRFC560
tWTR_S0
tREFI12480
NMode2
メモリ電圧の欄1.35V

Claude Code の読みはこうです(推論)。tRFC の 560 は、3200 で動かすと 350ns。これは 8Gb チップ(Kingston の 2 ランク)向けの値です。16Gb チップ(CFD の 1 ランク)には 550ns、つまり 880 が必要です。そこで「tRFC だけを 560 から 880 に変える」ことを提案しました。もし画面が出なくなったら、電源の入れ直しを何回か試し、最後は CMOS の電池を外す、という戻し方も添えてありました。

手動のプロファイルに切り替えて tRFC を 880 にすると、結果は裏目に出ました。電源を入れると、低い音 3 回・高い音 2 回のビープ音が鳴り、POST(電源を入れた直後の自己診断)すら通りません。何度入れ直しても同じでした。結局、CMOS の電池を外して設定を初期化し、やっと元に戻りました。

なぜ POST が通らなくなったのか。Claude Code の推論では、手動に切り替えたとき、画面に出ていたほかの値までそのまま使われた可能性があります。特に tWTR_S の「0」は、規格では 4 以上が必要な値です。

次は、tRFC を 880、tWTR_S を規格の最小値の 4 にして、この 2 か所だけを変えました。今度はビープ音は鳴らず、POST も通りました。しかし通常起動は、やはり白い輪で止まりました。tRFC のずれは、少なくともそれだけが原因ではない、と分かりました。

教訓ははっきりしています。AI の提案は、仕様と照らした筋の通ったものでした。それでも実機では POST を壊しました。Claude Code 自身も、「BIOS でタイミングを手で変えるのは、ほかに方法が無いときだけにする」と記録に残しています。戻し方を先に聞いていたので、復旧はできました。

決め手:元の2枚に戻すと、BIOSの画面ごと変わった

ここで Claude Code に、「BIOS を更新したら直る可能性は何%くらい?」と聞きました。答えは「1〜2 割くらい。根拠のある数字ではなく見立て」で、今は勧めない、とのことでした。理由は 3 つです。

  • POST もメモリの検査も通っている段階の問題で、BIOS の更新で直る典型の形ではない
  • 書き換えに失敗すると、起動しなくなる危険がある
  • より新しい BIOS(F.30 Rev.A)があるという話は HP コミュニティの書き込みで、実機では確かめていない

代わりに、まだ切り分けていなかった点を確かめることにしました。32GB で通常起動に成功したのは、電池交換の前だけ。64GB で止まっているのは、電池交換の後だけ。「4 枚の組み合わせ」と「電池交換で BIOS が初期化されたこと」が、同時に起きていたのです。

16:57 ごろ、CFD の 2 枚を抜き、元の Kingston 2 枚(32GB)だけにしました。F10 で BIOS を開くと、「Advanced」の見出しごと消えていました。Memory Overclocking の画面は、HP 以外のメモリが挿さっているときだけ出るようです。HP コミュニティには、F.20 で「HP 以外のメモリ用のオーバークロック設定のページ」が加わった、という書き込みがあります。

そのまま通常起動すると、成功しました(16:58)。SSH で確かめると、セーフモードではない通常起動で、ログイン済み。Ollama も動いていて、見えている容量は約 31.9GB でした。

ここから言えることは次のとおりです。

  • 電池の交換、BIOS の初期化、Windows の状態は、原因ではない
  • 原因は「CFD の 2 枚を加えたこと」にしぼられた
  • CFD そのもの(または HP 以外のメモリに対する BIOS の扱い)か、2 種類を混ぜた 4 枚の組み合わせか、のどちらか

どちらなのかを見分けるには、CFD の 2 枚だけで起動する必要があります。その確認はしていません。

結論:CFDは諦めて、HP純正のメモリを買い直す

11 月 2 日 17:04、「CFD は諦めて、HP 純正のメモリを買い直す」と決めました。

判断の材料は、Claude Code が事前に示していました。CFD の 2 枚だけで試しても、結果はどちらでも直し方がほぼ同じなのです。

  • 起動できた場合:原因は「2 種類の混在」。直し方は、4 枚を同じ種類にそろえること
  • 止まった場合:原因は「CFD そのもの、または HP 以外のメモリに対する BIOS の扱い」。直し方は、HP 純正(HP 向け)のメモリにすること

どちらに転んでも、HP のメモリにそろえるのがいちばん確実です。BIOS の更新は「1〜2 割」の見立てで、勧められていませんでした。

買うメモリの候補

Claude Code に調べさせ、メールでまとめてもらった候補です。

候補中身注意
第 1 候補今挿さっているのと同じ Kingston の HP 向けモジュール(HP32D4U8D8HD-16XR。改版違いの型番でも可)を中古で 2 枚新品はほとんど売られていない。買う前にラベルの写真で「HP32D4U8D8」と「2Rx8」の表記を確かめる
第 2 候補HP 純正アクセサリー「HP 16GB DDR4-3200 DIMM(13L74AA)」の新品販売店の情報では 2 ランク・1.2V・CL22。法人向け PC 用の品なので、OMEN で動くかは未確認

避けるものは、次の 3 つです。

  • 1 ランクの 16GB
  • HP ブランドではないメモリ
  • XMP が前提のゲーミング用メモリ

届いたら、まず BIOS で合計が 64GB になっていて、「Advanced」の見出しが出てこないことを確かめます。出てこなければ、HP のメモリとして扱われていると見てよさそうです。それを確かめてから、通常起動します。

やっていないこと

  • CFD の 2 枚だけでの起動
  • BIOS の更新
  • HP UEFI のクイックテストと詳細テスト
  • メモリの速度を下げての確認

HP 純正のメモリは、この記事の時点ではまだ買っていません。OMEN は今、元の 32GB で通常どおり動いています。

ChatGPTとClaude Codeに任せてよかったこと・危なかったこと

今回は、手元の画面を読ませるのはスマートフォンの ChatGPT、PC の中を調べて記録するのは Mac の Claude Code、という分担でした。PC がまともに起動しない間、画面の中身を AI に渡せるのはスマートフォンのカメラだけだったからです。2 つの AI の得意分野の違いは、ChatGPT と Claude の比較でも整理しています。

作業使った AI結果・評価
画面の写真を読んで、手順を案内ChatGPTその場で迷わずに済んだ
相談の履歴を時系列にまとめるChatGPT時刻があいまいなものを「時刻不明」と区別できた
Mac 側のログから、OMEN がネットワークに居た時刻を復元Claude Code「裏で Windows が動いているのでは」という説を弱めた
セーフモードで SSH を通すClaude Code変更前の控えと戻し方つきの手順書が役立った
読み取り専用の診断スクリプトClaude Code不具合があり、プロダクトキーに関わる情報まで集めてしまった
32GB だったことの証明Claude CodeNVIDIA のアプリの記録を探し当てた
GPU を無効にしたテストClaude Code許可を得て実行し、すぐに戻した
BIOS の tRFC を変える提案Claude CodePOST が通らなくなった
BIOS の更新で直る見込みClaude Code「1〜2 割」。根拠の無い見立てだと本人が断っていた
10 月のメモリ選びClaude Code「未確認」と書かれていた点(混在、BIOS の扱い)のあたりでつまずいた

うまくいった理由は、情報の種類を分けて報告させたことです。実機の記録、私の記憶、資料上の情報(フォーラムなど)、推論。この 4 つを混ぜずに書かせました。時刻も、PC の時計のずれを直してから突き合わせました。

設定を変えるときは、読み取りを先にしました。変えるときは、変更前の値と戻し方を先に書かせ、実行するかどうかは私が決めました。1 回に変えるのは 1 か所だけです。

危なかったのは、AI の提案が「仕様の上では正しい」ことが多い点です。OEM の BIOS の癖のような、手元の機械の事情までは知りません。戻し方の無い変更は、頼まないほうが安全です。

同じ症状の人へ:確かめる順番のチェックリスト

この 2 日の経験から、私ならこの順番で確かめます。

  1. 足す前に、今のメモリを確かめる:型番とランクを実機で見る。私の OMEN の元のメモリは、Kingston の HP 向け 2 ランクでした。
  2. 買い方を選ぶ:メーカーの機種別の適合表を見て、相性保証のある店で買う。
  3. BIOS の容量表示だけで安心しない:64GB と出ても、通常起動はできませんでした。
  4. 通常起動とセーフモードを比べる:セーフモードだけ動くなら、メモリとドライバーの両方を疑う。
  5. ブートログを有効にして起動する:どこで止まるかを見る。何も書かれないなら、かなり早い段階で止まっている。
  6. GPU のドライバーを外して比べる:デバイスを無効にして通常起動し、すぐ戻す。
  7. BIOS の値を手で変えるのは最後:戻し方(CMOS の電池を外す)を先に確かめる。
  8. 元の構成に戻して、動くことを確かめる:原因を「足したもの」にしぼれる。
  9. CMOS の電池も見る:電源を抜くたびに時計が 2018 年などに戻るなら、電池切れです。

OMEN 30L(基板 8703・BIOS F.20)で見えたこと

  • HP 以外のメモリを挿すと、BIOS に「Advanced」(Memory Overclocking)が出る
  • その画面の既定値には、1.35V の表示や tWTR_S の 0 があった
  • HP のメモリだけにすると、この見出しは消えた

ただし、同じ症状なら必ずこれが原因、とは言えません。機械の状態や BIOS の版で、ふるまいは変わりえます。

まとめ

64GB は、BIOS の表示とメモリのテストの上では成功していました。それなのに、Windows の通常起動だけができませんでした。元の 2 枚に戻すと動いたので、原因は CFD を加えたことにしぼれましたが、CFD の不良とは言えません。増設は、HP のメモリでやり直します。

AI は、ログを突き合わせて時系列を作るのがとても速く、正確でした。一方で、BIOS を変える提案は実機で裏目に出ました。「事実と推論を分けさせる」「戻し方を先に聞く」。今回いちばん効いたのは、この 2 つです。

HP 純正のメモリで 64GB にできたら、続きを書きます。

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AIpedia編集部

AIpediaの運営者が自分の作業でAIツールを使ったときの記録(AIとのやりとり、画面やコマンドの出力、写真など)をもとに、AIpedia編集部がまとめています。うまくいかなかったことも、そのまま残しています。