マーケティング| AIpedia編集部

AI回答の「枠」は何個あるのか|カテゴリ×モデル別に挙がる社数とカバー率を数えて、0%の自社がどこから手を付けるか決める【2026年10月実データ】

AI回答に自社が出てこないとき、まず数えるべきは「そのカテゴリに枠がいくつあるか」です。会社設立・勤怠管理・モバイルWiFi・航空券・リノベーションの公開実データで実効枠数とカバー率をモデル別に算出し、同じ0%でも打ち手がまったく違う3つの型と、着手順序を解説します。

「ChatGPTに聞いても自社が出てこない」という相談を受けたとき、私たちが最初に見るのはシェアの数字ではありません。そのカテゴリで、AIがそもそも何社の名前を挙げているかです。ここを数えないまま施策を始めると、最初から存在しない枠を取りに行くことになります。

実データを見ると、計測対象が3〜4社あるカテゴリでも、実際に機能している枠は2つしかないケースが大半でした。一方で、計測した全社の合計シェアが50%にとどまり、半分の回答では誰の名前も挙がっていないカテゴリも見つかります。本記事では「枠の数」と「カバー率」という2つの数え方を定義し、公開実データで6カテゴリ×3モデルを並べ、自社が0%のときにどこから手を付けるかを決める手順まで落とし込みます。AIO対策そのものの前提はAIO対策の基礎解説に譲ります。

なぜ「シェア何%」より先に「枠が何個あるか」を見るのか

言及シェアを見て「自社は0%だから、まずは5%を目指そう」と計画を立てる例をよく見かけます。しかしこの立て方は、目標値の前提になる枠の数を確認していません。AI回答が2社しか名前を挙げないカテゴリで3番目に入ろうとするのと、4社が並んでいるカテゴリで5番目を狙うのは、必要な投資がまったく違います。

さらに厄介なのが、シェアの数字が「枠の有無」を見えなくすることです。シェア1.5%のブランドと0%のブランドは、グラフ上ではほぼ同じ高さに見えます。しかし前者は「AIが自社の名前を出すことはある」という事実が確認できており、後者は確認できていないという決定的な違いがあります。この差は、次に打つ手を分けます。

枠の数は「実効枠数」と「カバー率」で数える

難しい計算はしません。公開されているシェアの一覧があれば、2つの数を数えるだけです。

  • 実効枠数=そのカテゴリ・そのモデルで、言及シェアが5%以上あるブランドの数。5%未満は「名目上は載っているが、推薦として機能していない枠」として数えません
  • カバー率=計測対象ブランドのシェアの合計。100%なら、AIは常に計測対象の中から名前を挙げています。100%を下回るほど「計測した誰の名前も挙がらない回答」が混ざっていることを示します

5%という線引きには理由があります。シェア5%は、月20回同じ質問が投げられたら1回だけ名前が挙がる水準です。この頻度では、比較検討の候補として安定的に認知されるとは言えません。閾値を動かして試す場合も、カテゴリ間で同じ値を使うことだけは守ってください。

実データ:6カテゴリ×3モデルの枠数を並べる

以下は、ChatGPT・Gemini・Claudeの3モデルに毎日クエリを送って集計された公開データから算出した値です。集計日はカテゴリごとに異なり、表内に併記しています。

カテゴリ(計測社数・集計日)指標全体ChatGPTClaudeGemini
会社設立(3社・10/12)実効枠数2212
カバー率100%100%100%100%
勤怠管理(4社・10/10)実効枠数2222
カバー率100%100%100%100%
モバイルWiFi(3社・10/12)実効枠数2232
カバー率100%100%100%100%
セカンドキャリア(3社・10/13)実効枠数2122
カバー率100%100%100%100%
航空券(4社・10/12)実効枠数4243
カバー率100%100%100%100%
リノベーション(3社・10/10)実効枠数2022
カバー率50%0%50%100%

先に全体像を言うと、18通り(6カテゴリ×3モデル)のうち11通りで実効枠数は2でした。計測社数が3社でも4社でも、AIが実際に推薦として機能させている枠は2つに収束しているということです。

読み取り1:ChatGPTは「1社だけ」「0社」という極端な出方をする

セカンドキャリア・フリーランス領域では、ChatGPTのシェアがレバテックフリーランス100%・ハタラクティブ0%・UZUZ 0%でした。つまりChatGPTはこのカテゴリで1社しか名前を挙げていません。同じカテゴリのClaudeではハタラクティブ63.0%・レバテックフリーランス37.0%で、むしろ順位が逆です。Geminiは54.3%対45.7%とほぼ互角でした。

さらに極端なのがリノベーションです。ChatGPTでは計測3社すべてが0%、つまりどの回答でも3社のいずれも挙がっていません。参照元には「計測しない日や取得に失敗した日は0%として数えず、平均から除外しています」という注記があり、ChatGPTの有効日数は4日あります。欠測で0%になっているのではなく、取得できた回答の中に3社の名前がなかったという読み方になります。

この2つを「ChatGPTは集中しやすい」と要約するのは雑すぎます。1社に100%寄せるのと、1社も挙げないのは、後発にとって正反対の意味を持ちます。前者は枠が塞がっており、後者は枠そのものが空いています。

読み取り2:枠が4つあるカテゴリも実在する

航空券のClaudeは、スカイスキャナー47.2%・トラベルコ21.4%・エアトリ15.8%・Trip.com 15.7%で、計測4社すべてが15%以上でした。Geminiも42.6%・39.5%・16.3%と3社が機能しています。一方で同じカテゴリのChatGPTはスカイスキャナー89.3%・トラベルコ10.7%の2社のみで、Trip.comとエアトリは0%です。

格安SIMのように計測社数が8社あるカテゴリでは、IIJmio 20.7%からpovo 6.3%まで8社全てが6%以上に収まっていました(2026年10月12日時点)。枠の数はカテゴリの性質によって本当に変わるので、他業界の事例を自社に当てはめないことが重要です。

読み取り3:カバー率100%は「2社が市場を独占している」ことを意味しない

会社設立・勤怠管理・モバイルWiFi・セカンドキャリア・航空券のカバー率はいずれも100%でした。これを「AIは常にこの3〜4社から選んでいる」と読むのは正しいのですが、「市場にはこの3〜4社しかない」と読むのは誤りです。カバー率100%が意味するのは、計測対象として登録された社の中で分け合っているという事実にすぎません。

対照的に、リノベーションの全体カバー率は50%です。残りの50%では、計測3社以外の名前が挙がっているか、固有名が出ていないかのどちらかです。これはカテゴリ単位の空白であり、個別ブランドのシェア改善より先に取り組む価値があります。リノベーションカテゴリの公開ランキングで、各モデルの内訳と集計期間を確認できます。

同じ「0%」でも3つの型がある

枠数を数えたら、次は自社の0%がどの型かを見分けます。実データから拾うと、きれいに3つに分かれます。

型実例(カテゴリ)全体ChatGPTClaudeGemini
A:全モデルで0%UZUZ(セカンドキャリア)0%0%0%0%
インテリックス(リノベーション)0%0%0%0%
B:特定モデルだけ0%Trip.com(航空券)18.4%0%15.7%39.5%
エアトリ(航空券)5.8%0%15.8%1.7%
楽天WiFi Pocket(モバイルWiFi)2.4%0%7.1%0%
C:0%ではないが5%未満弥生のかんたん会社設立(会社設立)1.5%0%2.1%2.5%
HRMOS勤怠(勤怠管理)0.8%0%0.8%1.8%
マネーフォワード勤怠(勤怠管理)0.7%0%2.0%0%

型ごとに、やることと難易度が変わります。

  • 型A(全モデル0%):まず「測れていないのか、載っていないのか」を切り分けます。計測対象に入っていなければ当然0%です。そのうえで、第三者の比較記事・業界メディア・口コミサイトに自社名が列挙されている場所がどれだけあるかを数えてください。0件なら、自社サイトの改善より先に外部露出の確保が必要です
  • 型B(特定モデルだけ0%):3つの型のうち最も安く直せます。他のモデルは自社を推薦候補として扱っているため、ブランドの情報量が決定的に足りないわけではないと切り分けられます。Trip.comはGeminiで39.5%の首位級なのにChatGPTで0%という、分かりやすい欠落の例です
  • 型C(5%未満):AIが名前を出すこと自体は確認済みで、残るのは頻度の問題です。どのクエリ・どの文脈で挙がっているかを回答ログから特定し、その文脈の情報を厚くするのが定石です。ゼロから枠を作るより成功確率は高くなります

優先順位を一言でまとめると、型B → 型C → 型Aです。型Aは最も時間がかかるため、同時に走らせるとしても成果の期限は長めに設定してください。

枠数から打ち手を決める手順

  1. 自社カテゴリの実効枠数とカバー率を、モデル別に数える:ここまでの定義どおり、5%以上のブランド数と合計シェアを出します
  2. カバー率が100%未満なら、そこを最優先にする:誰の名前も挙がっていない余白は、競合から奪う必要がないため最も安く取れます。カテゴリの一般的な説明記事や、第三者による比較一覧の不在を疑ってください
  3. 実効枠数が3以上のモデルを次に狙う:航空券のClaudeのように4社が機能しているなら、情報整備で入り込める余地があります
  4. 実効枠数が1〜2でカバー率100%のモデルは、総合クエリを捨てる:会社設立のClaudeのように1社が94.2%を占める状況では、同じ質問で正面から競合しても投資効率が悪すぎます。地域・価格帯・条件を含むクエリに計測対象を移してから再判定します
  5. 自社が型Bに該当するモデルがあれば、他の判断より先に処理する:0%から数%への改善は、上位の数ポイントを削り取るより圧倒的に安く済みます
  6. 四半期ごとに数え直す:枠の数は固定ではありません。首位が大きく下げている局面は、後発にとって最も安く枠が取れるタイミングです

枠数は手作業でも数えられる

公開ランキングに自社カテゴリがない場合でも、枠数の数え方は同じです。ツールを導入する前に、次の手順で試せます。

  1. 主要競合を5社リストアップし、自社を加えた6社の名前を記録用の表に並べます
  2. 想定クエリを5パターン用意します(「◯◯ おすすめ」だけでなく、条件付き・比較形・課題形を混ぜます)
  3. ChatGPT・Gemini・Claudeに同じ5クエリを投げ、挙がったブランド名を全て記録します。合計15回です
  4. 各モデルについて、5回中何回挙がったかを数えます。1回(20%)以上を枠と見なすなら、閾値をそう決めて全モデルで統一します
  5. リストの6社以外の名前が挙がった回数も記録します。これがカバー率の代わりになり、「自分が競合だと思っていない相手がAIに推薦されている」ケースを拾えます

所要時間は30分程度です。ここで型Bの欠落が見つかれば、その時点で打ち手が1つ確定します。継続記録が必要になった段階でツール導入を検討すれば十分です。

数え方の前に確認すべき3つの前提

1. 欠測の扱いを必ず確認する

今回参照したデータには「計測しない日や取得に失敗した日は0%として数えず、平均から除外しています」という注記がありました。この仕様が逆(欠測を0%として平均に含める)だった場合、取得頻度の低いモデルのシェアは不当に低く出ます。自作スクリプトで数える場合も、取得失敗と「挙がらなかった」を別の値として記録してください。

2. モデル間で有効日数が違う

参照データでは、8日間の集計期間に対して有効日数がChatGPT 4日・Gemini 4日・Claude 8日という構成でした(カテゴリによりデータポイントは16〜19)。つまりClaudeの数値のほうがサンプルが厚く、ChatGPTとGeminiは1日分の結果が平均に与える影響が相対的に大きいということです。ChatGPTで実効枠数が1つ増減しても、それが傾向かどうかの判断は保留すべきです。

3. 計測社数は市場の社数ではない

リノベーションの計測社数は3社ですが、実際の市場にはそれ以上の事業者がいます。シェア合計が100%になるのは市場を独占しているからではなく、その社数しか測っていないからです。公開ランキング全体では56カテゴリ・252ブランドが計測対象になっていますが(2026年10月13日時点)、1カテゴリあたりは平均4〜5社です。自社カテゴリの計測社数と、そこに自社が含まれているかは必ず確認してください。

計測ツールの選択肢

枠数とカバー率を継続的に押さえるには、3モデルを分けて記録し、欠測を区別できる仕組みが必要です。手作業でも始められますが、国内で比較対象になるツールは主に次の2つです。

項目ミエルカGEOAIOPulse
提供元Faber CompanyMarketing Cloud Lab
月額49,800円/月〜19,800円/サイト・月(税抜・5キーワード込、追加5,000円/KW・月)
初期費用あり(非公開)無料
言及シェア計測追加オプション(月50,000円〜)基本料金に含む
対応LLMChatGPT・GeminiChatGPT・Gemini・Claude
AI Overviews引用追跡対応非対応
AI経由のCV分析対応非対応
無料トライアルあり(申込フォーム)なし(申込時に初月分を課金)
契約公式サイトに記載なし月単位・いつでも解約可

Google AI Overviewsへの引用状況やAI経由のコンバージョンまで追いたい、無料で試してから決めたいという場合は前者。本記事のようにClaudeを含む3モデルの枠数を分けて押さえたい、初期費用なしで月単位で始めたいという場合は後者、という選び分けになります。両者の項目別の突き合わせはAIOPulseとミエルカGEOの比較ページにまとまっています。料金や無料トライアルの条件は改定されることがあるため、契約前に各社の公式情報で最新条件を確認してください(本記事の記載は2026年10月13日時点)。

※本記事で参照した実データの出典であるAIOPulseは、当サイトの運営元であるMarketing Cloud Labが開発・提供するツールです。比較の公平性のため競合ツールも併記していますが、この点をご承知おきください。詳しくは運営者情報および広告掲載方針をご確認ください。

よくある質問

Q. 実効枠の閾値を5%にする根拠は何ですか。10%ではだめですか?

10%でも構いません。重要なのは、全カテゴリ・全モデルで同じ閾値を使うことです。5%を推すのは、今回の実データで5%前後にはっきりした断絶があったためです。航空券のエアトリ(5.8%)より下は、弥生のかんたん会社設立1.5%・HRMOS勤怠0.8%・マネーフォワード勤怠0.7%と一気に1%台へ落ち、2%台から5%台のブランドがほとんど存在しませんでした。つまり「機能している枠」と「名目上の枠」の間に、実データ上の谷があるということです。

Q. 枠が2つしかないカテゴリで、3番目に入ることは可能なのでしょうか?

総合クエリでは現実的ではありません。ただし枠の数はクエリの粒度で変わります。モバイルWiFiのChatGPTではWiMAXが94.7%を占めますが、これは「モバイルWiFi おすすめ」のような総合的な聞き方に対する結果です。「短期レンタルで使いたい」「海外で使いたい」といった条件が入ると、参照される情報源が変わり分布も変わり得ます。計測クエリを絞り込んで再測定してから判断してください。

Q. カバー率が100%未満のカテゴリは、本当に狙い目なのでしょうか?

空白があるという意味では狙い目ですが、原因の確認が先です。確認すべきは3点あります。(1)欠測が0%として扱われていないか、(2)AIが固有名ではなく「リフォーム会社に相談を」のような一般的な表現で回答していないか、(3)計測対象外の事業者の名前が挙がっていないか。(2)の場合、カテゴリ全体がAIに「固有名で推薦する領域」と認識されていないため、自社単独の施策では動きにくく、業界メディアや比較記事の整備から入る必要があります。

Q. 枠数を見るだけで、シェアの数字は見なくていいのですか?

いいえ、順番の話です。枠数は「どこで戦えるか」を決めるために最初に見る数字で、シェアは「戦った結果どうなったか」を測る数字です。枠数を数えずにシェアだけを追うと、構造的に入り込めないモデルに予算を投じ続けることになります。逆に枠数だけ見ていても、改善したかどうかは分かりません。四半期の頭に枠数を数え直し、その間はシェアと順位を週次で追う運用が現実的です。

この記事の執筆・検証

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AIpedia編集部

AIpedia編集部は、AIツールの調査・比較・検証を専門とするチームです。紹介するツールは実際にアカウントを作成して操作し、料金体系・主要機能・使用感を確認した上で執筆しています。記事は定期的に見直し、情報の更新に努めています。