マーケティング| AIpedia編集部

AI言及シェアの計測は自分でやるべきか?手動チェック・自作スクリプト・専用ツールの工数と落とし穴を比較|格安SIMの実データで見る「1回聞くだけ」の危うさ【2026年9月】

ChatGPT・Gemini・Claudeに自社が推薦されているかを測る方法は、手動チェック・API自作スクリプト・専用ツールの3択です。格安SIM業界の公開実データでモデル間のズレと欠測の実態を確認し、それぞれの必要工数、つまずきやすいポイント、規模別の選び方を整理します。

「AIO対策を始めたいが、いきなりツールに月数万円は出せない。まずは自分で測れないか」——個人事業主や少人数のマーケティングチームから、よく聞く相談です。結論から言うと、自前で測ることは十分に可能です。ただし「ChatGPTに1回聞いてスクリーンショットを撮る」やり方では、ほぼ確実に判断を誤ります。

本記事では、AI回答における言及シェアの計測方法を「手動チェック」「自作スクリプト」「専用ツール」の3つに分け、それぞれの工数・精度・落とし穴を比較します。途中で、格安SIM業界の公開実データを使って「なぜ1回聞くだけでは危ういのか」を具体的な数字で確認します。AIO対策そのものの考え方はAIO対策の基礎解説に譲り、ここでは「測る手段の選び方」に絞ります。

まず確認:何を測れば「計測した」と言えるのか

手段を選ぶ前に、最低限そろえるべき計測の要件を決めておきます。これを満たさない方法は、どれだけ安くても意思決定には使えません。

  • 複数モデル:ChatGPT・Gemini・Claudeのように、顧客が実際に使う主要モデルを網羅していること
  • 複数回:同じ質問でも回答は毎回変わるため、1回ではなく複数回の結果を集計していること
  • 継続性:単発ではなく、日次または週次で同じ条件の記録が積み上がっていること
  • 同一条件:クエリ文言・モデル・集計ルールが期間中に変わっていないこと
  • 欠測の記録:取得に失敗した日を「0%」ではなく「データなし」として区別できること

この5つのうち、手動チェックで崩れやすいのが「複数回」「継続性」「同一条件」、自作スクリプトで崩れやすいのが「欠測の記録」と集計ルールです。以下、実データでその影響の大きさを見ていきます。

実データ:格安SIMでは「どのAIに聞いたか」で1位が変わる

格安SIMは、主要8ブランドが1桁後半〜20%前後になだらかに分布している、比較的「読みにくい」業界です。以下は格安SIMカテゴリの公開ランキングに掲載されている、2026年9月11日更新時点の数値です(直近16データポイント)。

ブランド3モデル全体ChatGPTClaudeGemini
楽天モバイル20.4%30.1%20.0%11.2%
IIJmio16.3%26.2%18.1%4.5%
mineo15.8%25.7%14.0%7.6%
UQモバイル12.8%9.8%13.3%15.2%
LINEMO10.1%2.7%12.4%15.2%
ahamo9.0%2.8%6.8%17.6%
ワイモバイル7.9%1.7%9.5%12.6%
povo7.7%1.1%6.0%16.1%

この表から読み取れることは3つあります。

1. モデルによって「勝ち組」が入れ替わる

ChatGPTでは楽天モバイル・IIJmio・mineoの3社で合計8割以上を占めます。ところがGeminiでは、1位がahamo(17.6%)、2位がpovo(16.1%)で、ChatGPTではそれぞれ2.8%・1.1%しかなかったブランドが上位に来ています。

仮にahamoの担当者がChatGPTだけで手動チェックしていたら「AIにほとんど推薦されていない」と判断し、Geminiだけで見ていたら「業界1位だ」と判断することになります。どちらも事実の一部であり、どちらも単独では誤りです。

2. 同じブランドでもモデル間の差は6倍近くになる

IIJmioはChatGPTで26.2%、Geminiで4.5%。約5.8倍の差があります。「普段自分が使っているAI」だけを見る手動チェックは、自社の実力を数倍の幅で見誤るリスクがあるということです。

3. 取得の失敗は日常的に起きる

同じページには、集計期間中にChatGPTで4日、Geminiで4日、取得に失敗したことが明記されています。毎日自動で回している仕組みですら、この頻度で欠測が出ます。自作スクリプトでこれを「0件=言及なし」として集計すると、該当日のシェアが不当に下がり、ありもしない「急落」が記録されます。

なお30日推移(8月12日→9月11日)で見ると、楽天モバイルは18.8%→21.8%(+3.0pt)、povoは10.6%→8.1%(−2.5pt)と、動きは数ポイントの範囲に収まっています。この程度の変化は、1日1回の手動チェックのブレに簡単に埋もれてしまう大きさだという点も押さえておいてください。

方法1:手動チェック(コスト0円・工数大)

ブラウザでChatGPT・Gemini・Claudeに質問し、回答に出てきたブランド名をスプレッドシートに記録する方法です。

必要工数の目安

上で挙げた要件を満たす最小構成を「5キーワード×3モデル×各3回」とすると、1回の計測で45回の質問が必要です。回答を読んでブランド名を転記する時間を1回あたり1分と見積もると、1回の計測で約45分。これを毎日やれば月20時間超、週1回に落としても月3時間程度かかります。

向いているケース

  • AIO対策を始めるかどうか自体を判断する「初回の現状把握」
  • 計測したいキーワードが1〜2個で、週1回の確認で足りる
  • クエリ文言を試行錯誤しながら決めたい段階

落とし穴

  • パーソナライズの混入:ログイン状態の履歴やメモリ機能が回答に影響します。履歴・メモリをオフにした状態で聞くなど、条件を固定してください
  • 表記ゆれの転記ミス:「ワイモバイル」と「Y!mobile」、「UQモバイル」と「UQ mobile」を別ブランドとして数えてしまうミスは頻発します。最初に「同一ブランドとみなす表記リスト」を作っておくべきです
  • 続かない:最大の問題はこれです。数週間で記録が途切れ、比較できるデータが残らないケースは珍しくありません

方法2:API自作スクリプト(コスト小・構築と保守が必要)

各社のAPIを呼び出して回答を取得し、ブランド名の出現を自動集計する方法です。Pythonが書ける人なら、最低限動くものは1〜2日で作れます。

必要なAPI呼び出し回数の目安

「5キーワード×3モデル×各3回」を毎日実行すると、1日45回、月1,350回の呼び出しになります。API料金はモデルと回答の長さによって大きく変わるため、各社の料金ページで最新単価を確認し、「月の呼び出し回数×1回あたりの入出力トークン数」で試算してください。軽量モデルを使えば費用は小さく抑えられますが、後述する「アプリとの差」は大きくなりがちです。

向いているケース

  • 社内にエンジニアがいる、または自分でコードを保守できる
  • 計測したいキーワードが多く、キーワード単位課金のツールだと割高になる
  • 取得した回答本文を、自社の分析基盤で独自に加工したい

落とし穴

  • APIとアプリの回答は同じではない:APIで使うモデル、Web検索の有無、システムプロンプトの違いで、一般ユーザーがアプリで見る回答とはズレが出ます。これは自作に限らず、API経由で計測するツール全般に共通する限界なので、「傾向を追う指標」として扱うのが適切です
  • 欠測処理を最初から設計する:前述のとおり、取得失敗は日常的に起きます。エラー時は「0件」ではなく欠測フラグを立て、シェアの分母から除外する処理を入れてください
  • 言及の判定ルール:「〇〇はおすすめしません」のような否定的な言及も、単純な文字列一致では1件と数えられます。どこまで厳密に判定するかを決め、途中で変えないことが重要です
  • 保守コスト:モデルの提供終了やAPI仕様変更のたびに修正が必要です。担当者が異動した瞬間に止まる、というのが自作で起きやすい失敗パターンです

方法3:専用ツール(月額費用・工数ほぼゼロ)

言及シェアの日次計測、モデル別の内訳、推移グラフまでを自動で提供するサービスです。国内で比較検討の対象になりやすいのは、ミエルカGEOとAIOPulseの2つです。海外にもOtterly.AI、Peec AI、Profoundなどのツールがありますが、日本語クエリや国内ブランドへの対応状況は導入前に個別に確認が必要です。

項目ミエルカGEOAIOPulse
提供元Faber CompanyMarketing Cloud Lab
月額料金(基本)49,800円〜19,800円/サイト(税抜・5キーワード込)
追加キーワードサイト単位課金(KW追加課金なし)5,000円/KW・月(6KW目以降)
AI言及シェア計測50,000円〜/月の追加オプション基本料金に含む
初期費用あり(非公開)なし
対応LLMChatGPT・GeminiChatGPT・Gemini・Claude
AI Overviews引用トラッキング対応非対応(ロードマップ)
AI検索流入のCV分析対応非対応
サポート専任担当+コンサルメール対応
導入営業商談〜契約Web申込のセルフサーブ(無料期間なし・申込時に初月分を課金)

表の内容は両ツールの比較ページに2026年9月13日時点で掲載されているものです。料金は改定されることがあるため、契約前に各社の公式情報で最新条件を確認してください。

選び分けの軸は明確です。Google AI Overviewsでの引用状況やAI経由のコンバージョンまで追いたい、施策の伴走支援も欲しいならミエルカGEO。Claudeを含む3モデルの言及シェアを低予算で日次追跡したい、商談なしで試したいならAIOPulse、という整理になります。計測キーワードが多い場合は、キーワード単位で課金されるAIOPulseより、サイト単位課金のミエルカGEOのほうが割安になる分岐点がある点にも注意してください。

※AIOPulseは、当サイトの運営元であるMarketing Cloud Labが開発・提供するツールです。本記事の実データの出典にも使用しています。比較の公平性のため競合ツールを併記し、AIOPulseが非対応の機能も明記していますが、この点をご承知おきください。詳しくは運営者情報および広告掲載方針をご確認ください。

3つの方法を並べて比較する

観点手動チェック自作スクリプト専用ツール
金銭コスト0円API利用料(呼び出し回数次第)月額費用
運用工数大(1回約45分/5KW)構築1〜2日+保守ほぼなし
複数回・複数モデル工数に比例して崩れやすい設計次第で対応可標準対応
継続性途切れやすい担当者依存自動で蓄積
欠測・表記ゆれ処理人の注意力頼み自分で実装が必要ツール側で処理
アプリ回答との近さ最も近いズレありAPI経由ならズレあり
向いている段階現状把握・クエリ設計多KW・独自分析継続的な施策運用

見落とされがちなのが「アプリ回答との近さ」の行です。手動チェックは工数面で不利ですが、一般ユーザーが実際に目にする回答に最も近いという利点があります。自動計測を導入した後も、月に1回程度は主要キーワードを手動で確認し、自動計測の傾向と大きく食い違っていないかを見る運用がおすすめです。

規模別のおすすめの進め方

  1. 最初の2週間は手動で現状把握する:主要キーワード1〜2個を、3モデル×各3回で週2回記録します。ここで「そもそも自社カテゴリでAIが具体的なブランド名を挙げるのか」「どのモデルで強いか弱いか」を掴みます
  2. 業界の公開データと突き合わせる:自社カテゴリが56業界・252ブランドの公開ランキングに含まれていれば、手動の結果と大きくズレていないかを無料で確認できます。格安SIMの例のようにモデル間で順位が入れ替わる業界かどうかも、ここで分かります
  3. 継続が必要と判断したら自動化する:エンジニアリソースがあり、キーワードが多いなら自作。リソースがなく、まず5キーワード程度から始めるならツールを月単位で契約して試す、というのが現実的な分岐です
  4. 施策のリリース日を同じ表に記録する:どの手段を選んでも、これがないと数値の変化を施策の成果として検証できません

よくある質問

Q. 手動チェックは何回聞けば信頼できますか?

統計的に厳密な回数は、回答のばらつき方によって変わるため一概には言えません。実務上は「1モデルにつき最低3回」を下限にし、それでも回ごとに上位ブランドが大きく入れ替わるキーワードは、回数を増やすか自動計測に切り替えるのが安全です。1回だけの結果で判断しないことが最も重要です。

Q. 自作スクリプトとツールの計測結果が違った場合、どちらを信じればいいですか?

絶対値の一致を求めるより、同じ手段の中での「推移の方向」を見てください。クエリ文言・使用モデル・言及の判定ルールが違えば、数値がズレるのは当然です。どちらか一方を基準に決め、途中で乗り換える場合は一定期間並行して計測し、差を把握してから移行します。

Q. 顧客がChatGPTしか使っていない業界なら、ChatGPTだけ測れば十分ですか?

顧客がどのAIを使っているかを実際に把握できているなら、優先度をつけるのは合理的です。ただし格安SIMの例のように、モデルごとに推薦ブランドが大きく異なる業界では、1モデルだけの計測は機会や脅威を見落とす原因になります。少なくとも初回の現状把握は3モデルで行うことをおすすめします。

Q. 計測を始める前にやっておくべきことはありますか?

「計測するクエリの文言」と「同一ブランドとみなす表記リスト」を先に固定してください。この2つを途中で変えると、それ以前のデータと比較できなくなります。計測手段の選択より、この事前設計のほうが結果の信頼性に大きく影響します。

この記事の執筆・検証

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AIpedia編集部

AIpedia編集部は、AIツールの調査・比較・検証を専門とするチームです。紹介するツールは実際にアカウントを作成して操作し、料金体系・主要機能・使用感を確認した上で執筆しています。記事は定期的に見直し、情報の更新に努めています。