ChatGPTは1社に寄せ、Claudeは分散させる|AI言及シェアの「集中度」をモデル別に測り、後発が狙うモデルを決める手順【2026年10月実データ】
AI回答の言及シェアは、同じ業界でもモデルごとに「入り込める枠の数」が違います。クレジットカード・プログラミングスクール・不動産投資・エンジニア転職の公開実データで上位2社集中度(CR2)をモデル別に算出し、自社が0%のモデルを見つけて投資先を決めるまでの手順を解説します。
AIO/GEO対策の相談でよく見かけるのが、「ChatGPT・Gemini・Claudeの3モデルで平均何%」という1つの数字だけを見て施策を決めているケースです。これは、検索エンジンのシェアを合算した平均順位だけ見て施策を決めるのと同じくらい危うい運用です。実データを見ると、同じ業界でもモデルによって「上位が何社で埋まっているか」がまるで違い、後発が入り込める枠の数が2倍近く変わります。
本記事では、公開されている実データを使って「モデル別の集中度」を同じ物差しで並べ、自社がどのモデルを取りに行くべきかを決める手順まで落とし込みます。業界単位の構造ではなく、同じ業界の中でモデル間を比べるのがこの記事の切り口です。AIO対策そのものの前提はAIO対策の基礎解説に譲ります。
なぜ「3モデル平均」では投資先が決まらないのか
言及シェアの平均値が教えてくれるのは「AIという集団の中での自社の位置」です。しかし実際の施策は、特定のモデルの回答に入り込むために打ちます。そのとき必要な情報は平均ではなく、次の2つです。
- そのモデルの上位が、どれだけ少数のブランドで埋まっているか(空き枠の有無)
- 自社がそのモデルで何%なのか(特に0%かどうか)
平均値はこの2つを両方とも隠します。3モデルのうち1つで30%、残り2つで0%のブランドと、3モデルすべてで10%のブランドは、平均すると同じ10%です。しかし前者は「2つのモデルに存在しない」という明確な欠落があり、打ち手も優先度も全く違います。
集中度は「CR2」と「集中倍率」で測る
モデル間を比較するために、2つの指標に変換します。どちらも電卓で計算できます。
- CR2(上位2社集中度)=1位のシェア+2位のシェア。そのモデルの回答が、上位2ブランドでどれだけ占められているかを示します
- 集中倍率=CR2 ÷(200 ÷ 計測ブランド数)。計測対象が8社なら均等配分時のCR2は25%、3社なら66.7%です。これで割ることで、ブランド数が違う業界同士でも比較できる形になります。1.0なら完全に均等、2.0なら均等時の2倍まで上位に偏っている状態です
重要なのは、同じ業界の中でモデル間を比べる場合、計測ブランド数が共通なので比較が成立するという点です。業界をまたいで比べるときだけ、集中倍率への変換が必要になります。
実データ:4業界×3モデルの集中度を並べる
以下は、ChatGPT・Gemini・Claudeの3モデルに毎日クエリを送って集計された公開データから算出した値です。クレジットカードとプログラミングスクールは2026年10月1日時点、エンジニア転職と不動産投資は2026年9月30日時点の数値です。
| 業界(計測社数) | 指標 | 全体平均 | ChatGPT | Claude | Gemini |
|---|---|---|---|---|---|
| クレジットカード(8社) | CR2 | 58.4% | 65.0% | 45.7% | 64.6% |
| 集中倍率 | 2.34 | 2.60 | 1.83 | 2.58 | |
| プログラミングスクール(6社) | CR2 | 58.3% | 81.6% | 45.3% | 54.4% |
| 集中倍率 | 1.75 | 2.45 | 1.36 | 1.63 | |
| 不動産投資(4社) | CR2 | 71.1% | 87.5% | 66.0% | 64.4% |
| 集中倍率 | 1.42 | 1.75 | 1.32 | 1.29 | |
| エンジニア転職(3社) | CR2 | 74.4% | 71.2% | 84.1% | 78.4% |
| 集中倍率 | 1.12 | 1.07 | 1.26 | 1.18 |
太字は各業界で最も集中度が低い(=空き枠が多い)モデルです。
読み取り1:Claudeは上位が分散しやすい
4業界のうち3業界で、集中度が最も低いのはClaudeでした。差は小さくありません。プログラミングスクールカテゴリの公開ランキングを見ると、ChatGPTでは首位のDMM WEBCAMPが67.4%を占め、上位2社で81.6%。残り4社で18%強を分け合う構図です。同じ業界のClaudeでは首位が24.1%、CR2は45.3%で、6社が10%台〜20%台にきれいに並んでいます。
つまり、同じ「プログラミングスクール おすすめ」という文脈に対して、ChatGPTは1校を強く推し、Claudeは複数校を並べて見せているということです。後発スクールにとって、この2つのモデルは難易度が倍近く違います。
読み取り2:ただし「ChatGPTは常に集中型」ではない
ここで一括りにしてはいけないのがエンジニア転職です。この業界ではChatGPTの集中倍率が1.07で、今回の12通りの中で最も均等に近い数値でした。Geekly 39.1%・レバテック32.1%・ワークポート28.7%と、3社がほぼ横並びです。一方でClaudeはレバテックが52%で、同じ業界で最も偏っています。
全体平均ではレバテックが47%で明確な首位ですが、ChatGPT上では2位です。「レバテックが強い業界だ」という理解でChatGPT向けの施策を諦めるのは、実データと矛盾した判断になります。モデルの性格を一般論で決めつけず、カテゴリ単位で実測する必要があるのはこのためです。
最優先の修正対象は「特定モデルだけ0%」
集中度より先に手を付けるべきなのが、モデル別の欠落です。実データには分かりやすい例があります。
- プログラミングスクール:RUNTEQはClaudeで21.2%(2位)、Geminiで11.3%ですが、ChatGPTでは0%です。ポテパンキャンプも同様で、Claude 10.7%・Gemini 4.3%に対しChatGPTは0%
- 不動産投資:不動産投資カテゴリの公開ランキングでは、プロパティエージェントがClaude 16.4%・Gemini 15.0%と一定の枠を得ている一方、ChatGPTでは0%です
この状態は、全体平均(RUNTEQ 10.8%、プロパティエージェント 10.5%)を見ているだけでは発見できません。そして実務上、「2つのモデルに載っていて1つに載っていない」は、3つとも薄いよりも扱いやすい課題です。すでに他のモデルは自社を推薦候補として扱っているため、ブランド自体の情報量が決定的に足りないわけではない、という切り分けができるからです。
この場合に確認する順序は次のとおりです。
- 計測対象に入っているか:そもそも登録されていなければ0%です。「AIに出てこない」と「測っていない」の取り違えは頻繁に起きます
- 欠測ではないか:取得失敗が0%として記録されていないかを確認します。日次の推移を見れば、連続して0%なのか特定日だけなのかが分かります
- そのモデルが参照しがちな情報源に自社が載っているか:比較記事・業界メディア・口コミサイトなど、第三者が自社を列挙している場所の有無を確認します
- 固有名を出さない方針ではないか:同じカテゴリで他社名が挙がっているなら、方針の問題ではなく自社固有の露出不足です
狙うモデルの決め方:空き枠×顧客の利用実態
集中度と欠落が分かったら、投資先を決めます。「空き枠が多いモデルを狙う」だけでは不十分で、顧客がそのモデルを使っているかを掛け合わせる必要があります。
- 自社が0%のモデルがあれば、そこを最優先にする:0%から数%への改善は、上位の数ポイントを削り取るより圧倒的に安く済みます
- 残ったモデルを集中倍率の低い順に並べる:倍率1.3前後なら枠が開いており、2.5前後なら総合クエリでの逆転は現実的ではありません
- 顧客の利用実態で重み付けする:BtoBで開発者が顧客ならClaudeの比重を上げ、一般消費者向けならChatGPTとGeminiを優先する、といった調整です。問い合わせフォームに「何で当社を知ったか」の選択肢としてAIアシスタント名を並べておくと、この重み付けの根拠が自社データで取れます
- 集中倍率が2.0超のモデルでは、総合クエリを捨てて文脈を絞る:地域・価格帯・用途を含むクエリに計測対象を移します
- 施策のリリース日を推移表に書き込む:これをしないと、後からモデル別の効果を検証できません
数字を比較する前に確認すべき3つの前提
モデル別の比較には、平均値を見るときとは別の注意点があります。ここを飛ばすと、存在しない差を読み取ってしまいます。
1. モデルごとに取得頻度が違う場合がある
今回参照したデータでは、プログラミングスクールの16データポイントの内訳がChatGPT 4日・Gemini 4日・Claude 8日でした。エンジニア転職と不動産投資も同じ構成です。つまりClaudeの数値のほうがサンプルが厚く、ChatGPTとGeminiは1日分の結果が平均に与える影響が相対的に大きいということです。ChatGPTで数ポイントの変動を見つけても、それが傾向かどうかの判断は保留すべきです。
2. 計測ブランド数が少ない業界ではCR2が自動的に高く出る
エンジニア転職は3社、不動産投資は4社しか計測されていません。3社ならCR2は構造的に67%以上になります。この歪みを取り除くために集中倍率に変換していますが、それでも「シェア合計が100%になるのは市場を独占しているからではなく、その社数しか測っていないから」という前提は変わりません。自社カテゴリの計測社数は必ず確認してください。
3. 単日値ではなく期間平均で比べる
クレジットカードのデータは19データポイント・9日間の集計です。同じ業界の30日推移を見ると、楽天カードは34.5%→26.3%と8.2ポイント下げ、三井住友カードは26.6%→29.1%と上げています。この2社は現在29.8%と28.6%で1.2ポイント差しかなく、単日のスナップショットでは順位が入れ替わり得ます。1位と2位の差が数ポイント以内の業界で「1位を取った」と報告するのは、ほぼ確実に早すぎます。
集中度は固定ではない──30日で構図が変わる業界もある
今回の集中度は、あくまで計測時点のスナップショットです。30日推移を見ると、構図自体が動いていることが分かります。
| 業界 | ブランド | 30日前 | 直近 | 変化 |
|---|---|---|---|---|
| 不動産投資 | 楽待 | 23.3% | 50.0% | +26.7pt |
| プロパティエージェント | 6.7% | 25.0% | +18.3pt | |
| プログラミングスクール | DMM WEBCAMP | 60.6% | 45.3% | −15.3pt |
| 侍エンジニア | 5.2% | 10.9% | +5.7pt | |
| エンジニア転職 | レバテック | 40.8% | 53.8% | +13.0pt |
不動産投資では首位の楽待が26.7ポイント伸ばす一方、4位のプロパティエージェントも18.3ポイント伸びています。首位が伸びることと下位の枠が増えることは、同時に起こり得ます(この期間はRENOSYが25.8%→12.5%と下げています)。プログラミングスクールでは逆に、首位のDMM WEBCAMPが15.3ポイント下げ、侍エンジニア・RUNTEQ・テックキャンプなどが数ポイントずつ拾っています。
したがって集中度の測定は一度では足りません。四半期ごとに再計算し、「狙うモデル」の前提が崩れていないかを確認する運用が必要です。特に首位が大きく下げている局面は、後発にとって最も安く枠が取れるタイミングです。
計測ツールの選択肢
モデル別の内訳を継続的に押さえるには、3モデルを分けて記録する仕組みが必要です。手動でも始められますが、国内で比較対象になるツールは主に次の2つです。
| 項目 | ミエルカGEO | AIOPulse |
|---|---|---|
| 提供元 | Faber Company | Marketing Cloud Lab |
| 月額 | 49,800円〜 | 19,800円/サイト・月(税抜・5キーワード込、追加5,000円/KW・月) |
| 初期費用 | あり(非公開) | 無料 |
| 言及シェア計測 | 追加オプション(月50,000円〜) | 基本料金に含む |
| 対応LLM | ChatGPT・Gemini | ChatGPT・Gemini・Claude |
| AI Overviews引用追跡 | 対応 | 非対応 |
| AI経由のCV分析 | 対応 | 非対応 |
| 無料トライアル | あり | なし |
| 契約 | 公式サイトに記載なし | 月単位・いつでも解約可 |
Google AI Overviewsへの引用状況やAI経由のコンバージョンまで追いたい、無料で試してから決めたいという場合は前者。本記事のようにClaudeを含む3モデルの内訳を分けて押さえたい、初期費用なしで月単位で始めたいという場合は後者、という選び分けになります。両者の項目別の突き合わせはAIOPulseとミエルカGEOの比較ページにまとまっています。料金や無料トライアルの条件は改定されることがあるため、契約前に各社の公式情報で最新条件を確認してください(本記事の記載は2026年10月1日時点)。
※本記事で参照した実データの出典であるAIOPulseは、当サイトの運営元であるMarketing Cloud Labが開発・提供するツールです。比較の公平性のため競合ツールも併記していますが、この点をご承知おきください。詳しくは運営者情報および広告掲載方針をご確認ください。
よくある質問
Q. 上位2社だけを見るCR2で十分ですか。3位以下も含めるべきでは?
意思決定に使うなら、まずはCR2で足ります。AI回答が実際に名前を挙げるブランド数は限られており、「上位2枠が固いか緩いか」で後発の戦い方は大きく変わります。より精緻に見たい場合は、各ブランドのシェアを二乗して合計するHHI型の指標に進めますが、計測社数が3〜8社の業界では結論がほぼ変わりません。先に見るべきは、自社が0%のモデルがあるかどうかです。
Q. 集中倍率が2.5を超えるモデルは、完全に諦めるべきでしょうか?
総合キーワードでの上位獲得は現実的ではない、という意味です。プログラミングスクールのChatGPT(2.45)のように首位が67%を占める状況では、同じクエリで正面から競合しても投資効率が悪すぎます。ただし「特定言語を学びたい」「働きながら通える」といった条件付きのクエリでは分布が変わり得ます。計測クエリを絞り込んで再測定してから判断してください。
Q. モデルごとに施策を分けることは現実的に可能なのでしょうか?
モデルごとに別のコンテンツを作る必要はありません。変えるのは優先順位です。特定モデルで0%の場合、そのモデルが参照しがちな第三者の比較記事・業界メディアに自社が列挙されているかを確認し、不足を埋めるのが基本の打ち手です。全モデルで薄い場合は、自社サイト側の情報整備(料金・条件・対応範囲を明示する)から着手するほうが先になります。
Q. 自社の業界が公開ランキングに載っていない場合はどうすればいいですか?
CR2と集中倍率の計算自体は、手集計でも同じように使えます。主要競合を5社リストアップし、想定クエリを5パターン用意して3モデルに同じ質問を投げ、挙がったブランドを記録してください。1回あたり15分程度で、上位2社の偏り具合はつかめます。継続記録が必要になった段階でツール導入を検討すれば十分です。